ずっと若いころから病気知らずで、自分ががんになるとは考えたこともなかった。
両親や親戚にがんになる人が多かったのに、それでもがんにならない自信があった。60歳の時に、初めてマンモグラフィ検査を受けた。当然、異常なしだろうと信じていたのに、結果は乳がんステージⅡbだった。がん細胞の種類が浸潤型だったため、右乳房全摘手術とリンパ節郭清が必要だと言われた。抗がん剤治療も体験した。幸い、抗がん剤が良く効き、がん細胞が死滅し、がん発見から10年ほど経つ今、元気で過ごせている。右乳房を失ったが、命は守られた。それでも抗がん剤治療の最中は、体調が安定せず、脱毛や吐き気・嘔吐などの副作用もあり、「なぜ自分がこんなことに・・・」と悲しくなることも多かった。同じ抗がん剤治療をしている患者仲間が、治療の効果がなかなか出ず、亡くなるといった悲しい別れも経験した。これらの経験から、「自分は大丈夫」と過信せず、まずは健(検)診を受けて、健康かどうか、異常がないかをチェックする機会を意識して作ることが何より大切だと感じている。そうすることで、異常の早期発見・早期治療につなげることができるから。私の体験談を通して、ひとりでも多くの方が自分のからだや健康に関心を寄せ、楽しく自分らしく生きられるといいなと思う。