ふれあいルーム 赤松 幸子
ひき算とたし算
「もうちょっと!」「あとひとがんばり!」
十中八九までくると湧き出る感情。
時に、自らを鼓舞してそのまま突き進んで達成感を味わう。
また時に、あと一息のところで断念して挫折感に苛まれる。
以前、播磨町の姉妹都市である米国のライマ市を訪れたことがある。
空港からの移動中、目に入った光景は見渡す限りの豆畑。
とてつもない広さに唖然とした。
この広大な畑の収穫に、一体何日かかるのだろうか。
刈り始めの畑にいる1台のトラクターが目に入った。運転する農夫は、どこか楽しげで鼻歌でも聞こえてきそうだった。そこで思った。
「たし算の世界だ」と。
毎日生活する中、「あと少し!」のひき算を積み重ねてうまくいくことも少なくない。しかしひき算の連続に疲労感を覚えることがある。
そんな時、「ゼロから始めてこれだけできた」とたし算的発想に転換すると、その後スムーズに物事が展開していくことがある。
切羽詰まった時こそ、大きく息を吸って心をフレキシブルにすることが必要かもしれない。
慌ただしく時が経ち、もうすぐ夏を迎えようとしている。ほっと一息つくこの時期、ひき算とたし算をうまく使い分けて自分磨きをしたいものだ。